(こちらの記事は2024年2月25日に更新されました)
「冬のおこもりキャンプで悩まされるテント内の結露はなぜ起こるの?」
「テントの結露が面倒だから出来れば濡れたまま撤収したいけど問題なし!?」
「テントが結露によって被る害と対策について知りたい!」
こちらの記事は上記のような疑問や要望をお持ちの方に向けて書いています。
キャンプを楽しまれている方の中には、テント内で発生する結露に悩まされている方が多いのではないでしょうか。
特に、テント内で暖房器具などを使用する冬の季節には結露が発生しやすくなります。
また、キャンプ中でもとりわけ結露に悩まされるのは「撤収時」ではないでしょうか。
ある程度は拭き取っても、結露を完全に拭き取ることは困難であるため、部分的にテントが濡れている状態で撤収せざるを得ない機会も多くあると思います。
かく言う筆者も冬キャンプではいつも結露に悩まされています
しかしながら、撤収時の拭き取りの負担が大きいため侮りがちな結露ですが、実はこのテントに付着した結露水は、放置しておくとテントが大きなダメージを受けることになります。
せっかく購入したテントであるため、痛めることなく大切に使っていきたいですよね。
そこでこちらの記事では、テント内で結露が起こる3つの理由(メカニズム)とテントが結露水によって受ける被害、結露水による被害を防止するための対策についてご紹介します。
テントの結露対策にはワイパーや除湿剤等ちょっとした用具が大活躍します
テント内の結露でお悩みのキャンパーさんはぜひご覧ください!
結論(結露発生の3つの理由・結露によるテント被害・6つの結露対策)
結論を先に記載します。
テント内で結露が起こる3つの理由(メカニズム)
テント内で結露が発生する3つの理由(メカニズム)は以下のとおりです。
テントが結露水によって受ける被害
「TC素材」のテントと「化学繊維素材」のテントが結露水によって受ける被害は以下のとおりです。
結露水による被害を防止するための6つの対策
結露水によるテントの被害を防止する6つの対策は以下のとおりです。
以降で詳細を解説します!
テント内ではなぜ結露が起こるの?テント内面で結露が発生する3つの理由を解説
キャンプで悩まされることの多い結露ですが、そもそも結露はなぜ起こるのでしょうか。
本章では結露が起こるメカニズムについて紹介していきます。
キャンプ時にテント内面に結露水が付着する理由を一言で言ってしまうと、「冷えたテント内表面の近くの空気が冷やされて、空気中の水分が結露となって出てくるため」です。
テント内面で結露が起こるメカニズムの概略は以下の図のとおりです。
結露は湿気(空気中の水分)と温度差があるところで発生します。
冷たい飲み物をグラスに注いだ時にグラス表面が濡れるのも同じく結露によるものです。
テントでも同様に、テント内外の温度差によって結露が起こります。
寒い時期になると外気によってテントの外表面が冷やされ、外表面が冷えることでテントの生地全体が冷やされていきます。
そうするとテントの内表面も冷やされることになります。
一方、空気には水分が含まれていますが、空気中に含むことのできる水分(水蒸気)の量は温度毎に上限があります。
空気中に含むことのできる水蒸気の上限の量のことを「飽和水蒸気量」と呼びます。
飽和水蒸気量は温度が上がると多くなり、逆に温度が低くなると少なくなります。
温度が低くなると、空気中に含むことができる水蒸気の最大量が減るということですね
テント内表面が冷やされることで、テント内表面の付近にある空気が冷やされ、冷やされた空気中にいられなくなった水蒸気が水となってテント内表面に付着します。
これが結露です。
テント内外の温度差が大きな要因の一つであるため、ストーブなどの暖房器具を使用する冬の季節には結露が発生しやすくなります。
結露水の放置によるテントへの悪影響を解説(TC素材・化学繊維素材)
次に、結露水がテントに与える悪影響について見ていきましょう。
結露水はテント撤収の時に拭き取ることが大変手間であるため、
「許されるのであれば濡れたまま撤収してそのまま片付けてしまいたいなぁ…」
と思うのが正直なところですよね。
しかしながら、テントに付着した結露水を放っておくとテントが思わぬダメージを受けることとなり、最悪の場合テントとして使えなくなってしまうおそれもあります。
このため、多少は面倒でもテント撤収時は可能な限り水分を拭き取ってから片付け、帰宅後もきちんと乾かすことが大切です。
結露水でぬれまたままテントを放置することで、テントにどのような悪影響があるのかを以下で紹介します。
対象素材としては、テント素材の代表格である「TC素材」と「化学繊維素材」の2つについてそれぞれ悪影響をご紹介します。
TC素材での悪影響
ポリエステルとコットンの合成であるTC素材のテントでは、テント表面で発生した水分はテント素材が吸収してしまうため、化学繊維100%のテント素材に比べると、テント表面に結露水は付着しにくいといえます。(まったく結露しないわけではありません。TC素材でも結露は起こります。)
なんだ、結露しにくいならいいじゃん!…と思われるかもしれませんが、素材が水分を吸収しているということは、放置すれば素材が湿潤環境となるためカビが発生しやすくなります。
素材の中にコットンが存在するため水分を吸収してしまうのは仕方ないのですが、カビの発生を予防するためにも濡れてしまった場合はテントをきちんと乾かすようにしましょう。
化学繊維素材での悪影響
ポリエステルのような化学繊維100%のテントはTC素材のテントに比べて水をはじきやすい特徴があります。
テントの素材自体は水をはじきやすいため、テントの中では結露水が発生しやすいことになりますが、水をはじいているということはテント自体はノーダメージなのでは?と感じますよね。
ポリエステル素材のテントでは、テント内表面に防水のためのPUコーティング(ポリウレタンコーティング)が施されていることがほとんどです。
このPUコーティングが水と接し続けていると、加水分解*を引き起こしてPUコーティングがべたつき劣化してしまいます。
*:物質に水を加えることで別の物質に変わる反応のこと
PUコーティングがなくなってしまうと防水機能がなくなってしまう他、一度加水分解してしまうとべたついた生地同士がくっつき、次にテントを広げた時に最悪テント生地が破れるといった事態も起こるおそれがあります。
このため、化学繊維素材のテントの場合は加水分解を防ぐためにも結露水はきちんと拭き取るように心がけましょう。
結露水による被害を防止するための6つの対策を解説!
結露水による悪影響についてもご紹介したところで、本章では結露水による被害を防ぐための対策について触れたいと思います。
具体的な対策として、以下に記載する内容をご紹介いたします。
自然乾燥で乾ききらない場合の心強い味方が結露とりワイパーや除湿剤です
以降で紹介します!
就寝時は極力テント内外の温度差をなくす(就寝時は暖房器具を消す)
結露の主な要因の1つが温度差であるため、テント内の温度を外気温近くまで下げることは有効な手段です。
ただし、起きていて活動中の間もテント内の温度を下げてしまうと居心地が大変悪くなってしまうため、テント内の温度を下げるのは就寝時のみにしましょう。
ストーブなどの暖房器具を消して眠ることでテント内の温度が下がるため、結露発生を抑える効果が期待できます。
ただし、テント内の温度が非常に下がるため、ダウンシュラフやインナーシュラフを活用して風邪をひかないように注意しましょう。
冬キャンプの防寒対策については以下の記事をご覧ください。
グランドシートを敷いて地面からの湿気がテント内に広がらないようにする
結露が起こる要因のもう1つの主な要因として湿気があります。
テント内の湿気を抑える主な方法としては、テント内にグランドシートを敷いて地面から持ち込まれる湿気を抑える方法があります。
テントを設営すると、地面からの水蒸気がテント内にこもるため、テント内に湿気がたまりやすいです。
テント内にグランドシートを敷くことで、この地面からの湿気がテント内にこもることを抑えることができます。
サーキュレーターやベンチレーションを活用して換気し湿気を外に逃がす
テント内は人の呼気などによっても湿気がたまりやすいため、サーキュレーターやテントのベンチレーションを活用して、テント内から湿気を逃がしてやることも結露対策では重要です。
特に起床時は、一晩呼吸した分の湿気がテント内に溜まっていることから、天気が良ければ朝のうちにベンチレーション等を開けておくと、早めにテントを乾かすことができます。
ワイパー等を用いてこまめに結露を拭き取る
テントに付着した水分を物理的に除去する方法として有効なのが、結露水を結露とりワイパーで除去する方法です。
結露とりワイパーは、テントに付着した結露水を手軽に除去することができるためオススメです。
結露とりワイパーは筆者も活用している結露対策アイテムです
冬のキャンプ時は特に活躍してくれます!
さらに、地道な方法ですが、テント内の結露水をこまめにタオルで拭き取ることも重要な結露対策です。
頻繁に拭き取ることは手間がかかるため億劫ですが、テントがダメになることを思えばこまめな拭き取りもやっておくことが望ましいです。
頻繁に拭き取っていると、タオル自身が水分をたくさん吸収することになるため、以下のように乾きやすいクロスが結露水の拭き取りには適しています。
除湿剤を活用する
結露対策を対策をしていても、残念ながら気温が低い時は湿気は少しずつテント内に溜まっていきます。
ここで活きてくるのが、クローゼットなどでよく使用される除湿剤です。
除湿剤をテント内にあらかじめ吊るしておくと、見栄えはよくありませんが除湿効果が期待できるため、結露対策としては大変有効な手段です。
以下の除湿剤シートは、除湿能力の低下を知らせてくれるセンサーが付いており、繰り返し使えるためコスパ面でもオススメです。
帰宅後はテントを広げて乾かす
キャンプ地から持ち帰ったテントは部分的に結露水で濡れていることが想定されるため、家でテントを広げてよく乾かすことが大切です。
洗濯物干しなどを活用してテントを干してよく乾かすようにしましょう。
スペース等の都合上、どうしても家でテントを乾かすことが困難な場合はテント乾燥サービスを活用しましょう。
キャンプの帰りにコンビニから発送できるため大変便利です。
【ソトリストテント乾燥サービス】以上テントを結露水による悪影響から守るための対策をご紹介しました。
キャンプ中やキャンプから帰った後はしっかりとテントの結露対策や手入れをして、大切なテントをできるだけ長く使いましょう!
まとめ(結露発生の理由・結露によるテント被害・結露対策)
- キャンプ時にテント内面に結露水が付着する理由は、外気によって冷やされたテントの内表面の近くの空気が冷やされて、空気中の水分が結露となって出てくるため
- テントが結露水で濡れたまま放置していると、材質によってはカビが生えたり、防水性が失われるため、手間を惜しまず結露水を乾かすことが大切
- テント使用中は、結露が起こりにくいようにテント内外で温度差を極力生じさせないようにしたり、テント内の湿分をテント外に逃がしてやることなどにより結露対策を講じることが大切
- 結露への物理的な対策で有効なのはワイパーや吸水タオルで拭き取る方法
- 気温が著しく低下する見込みの場合にはあらかじめ除湿剤をテント内に吊るしておくことも有効な対策
- キャンプから帰宅したら、テントを広げてきちんと乾かすこともテントの保護の観点では大切
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