「コーヒー豆の焙煎度合いは何段階くらいに分かれているの?」
「主要なコーヒーの銘柄ごとの適した焙煎度合いが知りたい!」
こちらの記事はこのような疑問や望みを持たれている方に向けて書いています。
精製されたコーヒー豆をコーヒーを飲むために必要なステップのひとつに「焙煎」があります。
焙煎とは、コーヒーの生豆(なままめ)を火で煎ることを指します。
精製されたばかりのコーヒー豆は淡緑色をしていて味や香りがほとんどありません。
このため、コーヒー豆に本来の苦味や酸味、コクや香りを発揮させるためにこの「焙煎」というステップが非常に重要な役割を担っています。
焙煎の度合いは、大別すると浅煎り、中煎り、深煎りの3段階に分けられます。
しかしこの3段階だけでは味の細分化が困難であるため、ライト、シナモン、ミディアム、ハイ、シティ、フルシティ、フレンチ、イタリアンの8段階に分けられます。
また、コーヒーベルト各国で栽培されるコーヒー豆には、それぞれがもつ本来の味や香りに異なる特徴があるため、焙煎もコーヒ豆ごとに適した度合いがあります。
こちらの記事では、焙煎度合い8段階の特徴と主要銘柄の適した焙煎度合いについて紹介しています。
焙煎はどのようにして行われるの?
コーヒー豆は焙煎機と呼ばれる機械で焙煎されます。
少量であれば一般の自宅でもフライパンと網を使えば焙煎できるのですが、一度にたくさんの量の焙煎が必要なコーヒー豆の販売店などでは焙煎機で焙煎することが一般的です。
焙煎機には大きく分けて以下の3つのタイプがあります。
直火式焙煎機はコーヒー豆が入った穴あきドラムに炎を直接当てて焙煎する方法です。
直接炎を当てるため、香りや風味が強くなりやすい特徴があります。
半熱風式焙煎機は直下式とほぼ同じ構造をしていますが、コーヒー豆を入れるドラムには穴が開いていない鉄板が使われており、熱源でドラムを通してコーヒー豆を熱しつつ、熱源により熱せられた熱風がドラム内に送りこまれることで焙煎する方法です。焙煎の幅が広がりやすいです。
熱風式焙煎機は熱源がドラムから離れた場所にあり、熱源に熱せられた熱風がドラム内に送りこまれることで焙煎する方法です。焼きムラが起きにくく均一に焙煎しやすい焙煎方法と言われています。
焙煎の安定度は熱風式が一番高いものの、熱風式焙煎機はマシンのコストも高いため、スペシャルティコーヒーの焙煎には実態として半熱風式焙煎機が最も多く用いられているようです。
スペシャルティコーヒーの詳細については以下の記事をご覧ください。
コーヒー豆の焙煎度合いについて
先述のとおり、コーヒー豆が持つ本来の苦味や酸味、香りを引き出すのが焙煎です。
コーヒー豆の成分は熱が加えられることによって変質するため、成分の変質によって味が変化していきます。
例えば、浅煎りではクエン酸やリンゴ酸などが作り出されて酸味が強くなり、深煎りになるとコーヒー豆の糖質が焦げて苦味が増してきます。
コーヒー豆の焙煎度合いは以下のとおりライトロースト、シナモンロースト、ミディアムロースト、ハイロースト、シティロースト、フルシティロースト、フレンチロースト、イタリアンローストの8段階に分けられます。
数字が小さいほど浅煎りであることを示し、数字が大きいほど深煎りであることを示しています。
焙煎度合い | 特徴 |
焙煎時間(参考:ブラジルコーヒーの場合) |
||
浅煎り |
1 | ライトロースト | 最も浅い焙煎度合い。黄色がかった小麦色をしており、コクや香りは弱い。テスト用に用いられるのみで一般的に飲まれることは少ない。 | 10分 |
浅煎り | 2 | シナモンロースト | シナモン色をした浅煎り。酸味が豊かなコーヒーをブラックで飲むのに適している。ライトローストと比べると香りは強い。 | 14分 |
中煎り | 3 | ミディアムロースト | ここまで焙煎すると見慣れた栗色になり、酸味に加えて苦味が出てくる。アメリカンコーヒーに適した焙煎度合い。 | 16分 |
中煎り | 4 | ハイロースト | 日本では一番ポピュラーな焙煎度合い。やや濃い茶褐色をしていて喫茶店などで使用されることも多い。酸味が抑えられ、苦味と甘味のバランスが良い。 | 18分 |
中煎り | 5 | シティロースト | 濃い褐色をしている。ロースト感と酸味のバランスが良い焙煎度合い。 | 20分 |
深煎り | 6 | フルシティロースト | やや黒色をしている。酸味は控えめで深いコクが楽しめる焙煎度合い。アイスコーヒーにも適している。 | 21分 |
深煎り | 7 | フレンチロースト | ほぼ黒色で苦味が強く存在感のあるコーヒーに仕上がる焙煎度合い。カフェオレなどのアレンジコーヒーやエスプレッソに適している。 | 22分 |
深煎り | 8 | イタリアンロースト |
最も深い焙煎度合い。色はほとんど黒色で苦味が際立つためエスプレッソやカプチーノに適している。 |
24分 |
浅煎りであればあるほど酸味が強くて苦味が弱くなり、逆に深煎りであればあるほど酸味が弱くて苦味が強くなります。
主要銘柄の適した焙煎度合い
焙煎度合い8段階の特徴について紹介したところで、コーヒー主要銘柄の適した焙煎度合いを銘柄ごとに見ていきましょう。
今回適した焙煎度合いを紹介する銘柄は以下の5つです。
主要銘柄は筆者の独断で選びました
ブラジル サントス
ブラジルのコーヒー豆は酸味と苦味のバランスが優れているため、ブラジル サントスの焙煎の度合いはハイロースト~フルシティローストが適しています。
もともとバランスの良い味をしているブラジルのコーヒー豆ですが、極端に浅煎りだとえぐみなどのクセが出やすいため、ハイロースト~フルシティローストの焙煎度合いがオススメです。
ブラジルコーヒーについては以下の記事もご覧ください。
キューバ クリスタルマウンテン
キューバのミディアムロースト~ハイローストの焙煎度合いが適しています。
ミディアムローストで酸味と風味がくっきりとした味わいになり、ハイローストの焙煎度合いでほのかに苦味が加わります。
ハイロースト以上に焙煎すると苦味が強くなり味のバランスが崩れてしまうため、ハイローストまでの焙煎が適しています。
キューバのコーヒー豆は肉薄で色の変化が分かりやすいため、焙煎しやすいと言われています
コロンビア スプレモ
コロンビアのコーヒー豆はもともと豊かな酸味を持っているため、苦味とのバランスをとるためにはフルシティロースト~イタリアンローストが適しています。
浅煎りでは酸味と渋みが強すぎるため、深い焙煎度合いが適しています。
ジャマイカ ブルーマウンテン
ジャマイカのブルーマウンテンは味、コク、香りのバランスが絶妙で、フローラル系の香りとまろやかな味が特徴のコーヒーの王様です。
このため、もともと豆本来が持っているバランスをうまく引き出すためにミディアムローストが適しています。
パナマ ゲイシャ
パナマ ゲイシャはフルーティな甘味と柑橘系のさわやかな酸味に加えて、ジャスミンのような香りをもつ非常に人気のあるコーヒー銘柄です。
一般的なコーヒーの持つ苦味や酸味、コクとは違った特徴をもつコーヒーであるため、特徴を乱さずに良さを引き出せるミディアムロースト~ハイローストが適しています。
パナマゲイシャについては以下の記事もご覧ください。
まとめ
- コーヒー豆の焙煎度合いには8段階あり、段階ごとに特徴がある
- コーヒーの各要銘柄には銘柄ごとに適した焙煎度合いがあり、コーヒー豆が本来もつ特徴を乱さずうまく引き出す焙煎度合いとすることが大切
コーヒーの「コク」については以下の記事をご覧ください。
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