「日本は長寿国家だから多少睡眠不足でも世界的にみて健康リスクは低いはず!」
「老後2,000万円問題をよく耳にするから、少し無理をしてでもたくさん働いて稼がなきゃ!」
この2つは潜在的に現代人の頭の中にある考えではないでしょうか。
日本の平均寿命が世界でもトップクラスであることは良く知られている事実ですね。
食生活などによる影響もありそうですが、大きな要因としては、高い医療水準ではないかと思います。
また、人によってばらつきはあるものの、老後にたくさんのお金が必要であることもまた事実です。
このため、老後に備えてまとまった資金を備えておくことも大切です。
一方で、日本は寝たきりの期間も世界最高水準であると言われています。
こちらの記事では、平均寿命の長い日本人が寝たきりになった場合の経済上の深刻な問題と予防策についてまとめています。
日本人の平均寿命は世界トップクラス
ご存知のとおり日本人の平均寿命は世界でもトップクラスです。
2020年の政府統計によれば、男性の平均寿命は81.64歳、女性の平均寿命は87.74歳と公表されています。(厚生労働省統計はこちら)
ランキングとしては、男性は世界3位、女性は世界2位(1位は香港)のようです。
欧米と比べて身体に優しい食生活であることも要因であると考えられますが、一番の要因は何といっても医療水準の高さにあると言えると思います。
日々医療現場で勤務されている方には本当に頭が下がる思いです
健康寿命や延命期間ってどんなもの?
平均寿命が日本はトップレベルであることは有名な話ですが、ここ数年注目されている「健康寿命」や「延命期間」とはどういった指標なのでしょうか。
厚生労働省の公表では「健康寿命」は以下のように定義されています。
厚生労働省公表(抜粋)
健康寿命とは、ある健康状態で生活することが期待される平均期間を示す指標である。これは、算出対象となる集団の各個人について、その生存期間を「健康な期間」と「不健康な期間」に分け、前者の平均値を求めることで表すことができる
出典:健康増進法施行規則等の一部を改正する省令 (mhlw.go.jp)
健康上の問題で生活が制限を受けない期間のことを「健康寿命」と定義されています。
生きていることだけではなく、生きている間の生活の質(寿命の質)も大切にすることにフォーカスされるようになり取り入れらた指標のようです。
一方「延命期間」は以下のように定義されています。
厚生労働省公表(抜粋)
平均寿命 - 健康寿命である。生命の維持・日常生活の動作・社会的手続きに必要不可欠な心身の機能が、現在の医学・医療技術では回復不可能な障害になり、自己の心身の能力では、生命の維持・日常生活の動作・社会的手続きが不可能になった後、生命の維持・日常の生活・社会的手続きに必要不可欠な能力を代替する医療・介護・福祉・後見を、死亡するまで(または喪失した能力を回復する新たな医療技術が実用化され、自己の心身の能力で生命の維持・日常生活の動作・社会的手続きが可能な状態に回復するまで。)継続して受ることにより、生命の維持・日常生活の動作・社会的手続きをして、生存している期間のこと
出典:国の健康寿命順と延命期間順リスト – Wikipedia
健康寿命の喪失後に、実際の寿命を迎えるまで生存している期間のことを指し、平均寿命から健康寿命を差し引くことで定まります。
例えば、2016年の日本人の健康寿命は、男性では72.14歳(同年の平均寿命は80.98歳)、女性では74.79歳(同年の平均寿命は87.14歳)と公表されています。
このため、2016年公表における男性の延命期間は8.84年(=80.98年-72.14年)、 女性の延命期間は12.35年(=87.14年-74.79年) となります。
2016年公表をもとに算出する限りでは、男性では約9年、女性では約12年の延命期間があることになります。
つまり、日本人は健康寿命も世界トップクラスであるものの、平均として健康寿命を喪失してから約10年間の延命期間があり、統計上では、この間医療技術や介護等の協力を得ながら生活することになります。
日本人の主な健康リスクとは
2020年の主な死因の上位5位は以下のとおりです。
死因順位 | 死因 | 全数に占める割合(%) |
1 | 悪性新生物(腫瘍) | 27.6 |
2 | 心疾患(高血圧性を除く) | 15.0 |
3 | 老衰 | 9.6 |
4 | 脳血管疾患 | 7.5 |
5 | 肺炎 | 5.7 |
日本人の死因の中で「老衰」が3位につけていることは、日本人の健康寿命が世界トップクラスであることを裏付けているとも言えますが、それでもがん、心疾患、脳血管疾患で亡くなる方が死因全体の5割を占めているのが実態です。
いわゆる生活習慣病が死因の上位を占めています。
これらの病を患った場合は、患者によって程度に違いはあるものの、医療や介護の協力のもと生活する必要があります。
大きな病気を患った場合に必要となる生涯医療費は?
日本人1人当たりの生涯医療費は2018年の厚生労働省推計によると、およそ2,700万円にのぼると言われています。
万が一、生活習慣病などの大病を患った場合は検査費用、入院費用や薬の費用などでさらに必要費用が膨れ上がることが予想されます。
例えば、直腸がんのステージⅣで病状を抑えるために抗がん剤投与の処置を続けた場合は年間で750万円ほどの費用が必要と言われています。
症状の程度にもよりますが、生活習慣病の罹患によって、概算として仮に生涯医療費の平均の1.5倍の費用が発生したとすると、およそ4,050万円の医療費が必要であるということになります。
また、介護が必要となった場合にはさらに介護費が上乗せされます。
生活習慣病を予防するために今日からできる予防策とは?
健康な体を維持するために必要なことは、言わずもがな日々の体調を整えることです。
そのために必要なことは、身体の血流を良くしてあげることと、しっかりと睡眠をとって身体や脳を休めてあげることです。
人間の全身には多くの毛細血管があります。これらの毛細血管を通じて身体の隅々にまで栄養が行きわたり、老廃物が回収されることで健康状態が維持されています。
しかしながら、日々過度なストレスが負荷されるなど、交感神経が優位な状態が続き、自律神経のバランスが乱れてしまうと、毛細血管が強ばってしまい、十分に血流が行きわたらなくなってしまいます。
このため、血流を良くするためには、心身リラックスすることで副交感神経が優位となる時間もしっかりと確保することが大切です。
また、睡眠をきちんととることで、酷使された脳や身体を休めることができるだけでなく、身体がリラックス状態になることで血流にも良い影響をもたらします。
このため、きちんと睡眠をとることも体調を維持する上で大切です。
現代人の実に4割が睡眠負債を抱えていると言われています。
睡眠負債によって病を患うことにより多額の医療費や介護費が発生すると、経済的にも負債を招くことから、日々規則正しい生活を送り、睡眠負債をなるべく抱えないようにして体調を整えることが大切です。
そして可能な限り健康に過ごせる期間を長くし、「延命期間」を短くできるような生活を心がけましょう。
日々規則正しく過ごすことで将来経済的負債を招くリスクを低減させることが大切ですね
まとめ
- 日本人は健康寿命を喪失してから平均して約10年間の延命期間がある
- 延命期間は医療技術や介護等の協力を得ながら生活することになることから、少しでもこの延命期間を短くすることが大切
- 1人当たりの生涯医療費はおよそ2,700万円と言われている
- 大病を患った場合には必要医療費がさらに膨れ上がる恐れがあり、さらに介護費も必要になるおそれがある
- 将来経済的な負債を招かないためにも日々規則正しく過ごし、睡眠負債を抱えないようにすることが大切
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